それなのに・・・。

「なんだ、玲音。美暖が気になるのか。お前が社会人になったら嫁にやることを検討してやってもいいぞ?」

と、呆気なく、陽生は美暖を玲音の嫁にすることを認めてしまったではないか・・・。

3歳児のわりに賢い玲音への期待が大きいのか、

はたまた優秀な蘭の遺伝子を引き継ぐ彼の将来性を見込んでのことなのか・・・?

いずれにしても、日葵の期待する

゛父と娘のラブラブシチュエーション゛

は今のところ見せてはもらえないらしい。

その様子を見ていた蘭が、ニヤニヤしながら何かを玲音に耳打ちした。

蘭の言葉を聞いて、玲音は日葵に顔を向ける。

「僕、日葵ちゃんと美暖ちゃんの両方がいいな」

玲音はそう宣言すると、美暖と手を繋いでいない方の手で日葵の右手を掴んで引き寄せた。

「えー?嬉しい・・・ありが・・・」

思わぬ可愛い王子様からの求愛に、胸をきゅんとさせた日葵がお礼を言い終わらないうちに、

「離せ。例えチビでも俺は容赦しないぞ」

と、すかさず本気モードで、陽生が玲音の手と日葵の手を引き離した。

子ども相手にドン引き、である。

「おいおい、相手は3歳児だぞ、泣かしてどうする」

悠馬の心配は当然のことだったが、

一方の玲音は、驚きもせず、再び美暖の顔を覗き込むと嬉しそうに頭を撫で始めた。

こちらもマイペースというべきか・・・。

「娘が生まれて親バカになるかと思えば、真島の日葵バカだけが健在なのね。あんたらしいわ」

あきれ顔の蘭は、玲音を使って陽生を試したかっただけらしい。

蘭や悠馬は面白かったかもしれないが、日葵には直視したくなかった現実が増えただけであった。