策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「美暖ちゃん!」

勇気は美暖を目に止めると、そんな女性達を無視して一目散に美暖に駆け寄り抱きついた。

「楽しかった?僕は美暖ちゃんと離れてて淋しかったよ」

そんな勇気の溺甘ぶりに、祐希奈も女性達も若干引き気味だったが、

「イケメンが妹を可愛がる様子は目の保養ね」

と、許容範囲内として映っていたようだった。

しかし、

「いえ、美暖ちゃんは妹ではありません。この子は僕の愛しい・・・」

という、勇気の一言で

「やだ、もしかしてロリコン?」

「娘かも知れないわよ、何歳の時の子かしら」

と、不穏な空気が流れてしまった。

現在17歳、高校3年生の時の子と仮定しても、12歳の父親ということは考えにくいとわかるだろうに・・・。

「この人は叔父です。変なこと言わないで下さい」

美暖は勇気の手を引きながら、女性達の横を通りすぎつつ冷静に呟いた。

「あら、その年で叔父さんなのね?姪子さんが羨ましいわ」

゛いくつになっても女は女子ね゛

イケメンに囲まれて育った美暖は、幼稚園にかよい始めた頃から苦労が絶えない。

「勇気くんには今後一切、小学校には出入り禁止令を出したから大丈夫」

「えー?本当?もうイケメン叔父さんに会えないなんて残念」

悔しがる祐希奈に、美暖は苦笑する。

゛イケメンブームなんて滅びればいいのに゛

イケメンに甘やかされる環境にいるだけでトラブルに巻き込まれる。

そんな状況におかれた美暖が、イケメンへのイメージを悪くするのは当然の結果であった。
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