小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
出会いと惹かれ

郁人side

僕と詩乃ちゃんが出会った理由、それは、それぞれの友人同士が付き合っていたからだ。


「郁人、最近女の話一切ないよな」


大学の友達、小谷(こたに)と飲んでいる時、唐突に持ちかけられた話題。


「ん〜、だって女性って裏がありそうで怖いじゃん? 元カノ性悪だったし。偏見もったらなかなか」

「郁人は顔が良くて仕事できて気がきく…。だからか変な女ばっかりホイホイ寄ってきてるもんなー」

「まぁそんな焦ってないよ。」


元カノに『仕事と私どっちが大事なの!?』なんて重苦しくて反吐が出るような質問されて、『仕事』って答えたら引っ叩かれて別れた。前々から縛りつけるような重い雰囲気あったし、潮時かなぁって思ってたから未練もクソもない。

これは今じゃもう笑い話にできるけど、次の恋に進めずにいるのは女性に対する変な偏見を持っているせい。


(出会いもないし、今は別に恋愛とかどうでもいい。)


枝豆の程よい塩気を感じつつ、それをビールで流し込む。そんな僕に向けて、小谷は陽気な感じで話しかけてきた。


「俺、良い女の子知ってるんだよね〜。彼女の友達で優しそうな子」


ふ〜ん。へぇ。
なんて興味のない反応をしかけた時だった。


「あ!俊樹くん!」


小谷の下の名前を呼ぶ高い声の女の人。


「麻耶じゃん!奇遇〜」


昔から察しは良い方で、言われなくても小谷と付き合っている相手だろうという推測ができた。


「麻耶も今日飲むって言ってたよな。まさか店がかぶるなんて…………あ、紹介するよ!」


僕の存在を思い出したかのように小谷は紹介を始める。営業スマイルみたいな笑顔を浮かべて挨拶を軽く交わすと、麻耶という人の隣に立っている女性が視界に映った。


それが詩乃ちゃんだった。


「一緒に飲むの、藍澤さんだったんだな! よかったら相席しようよ!」


何を勝手なことを…。なんて思ったけど、小谷が言ってた紹介したい『彼女の友達で優しそうな子』っていうのはこの子だろうと、また変な察し機能が働いて推測したため、ほんの少しだけ興味が湧いた。
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