明るい先生のみんなは知らない裏の顔
昨年の入学式 私は佐山先生に恋をした______


「きりーつ、れーい、ちゃくせーき」



気怠げな号令係の掛け声で授業が始まる。

二時限目は佐山先生の化学。





淡々と授業をこなすだけではなく、

間に小話も挟み、生徒の気を引く先生は

とても人気があり、学校でも一目置かれた存

在だった。





「ここが反応する理由、わかるかー?じゃあ、前田」






「は、はい!!」




先生のことが好きな私は当てられた時

毎回とても驚いてしまう。

私の顔を見ていたのかな、とか

今変な声じゃなかったのかな、とか

余計なことまで考えてしまうし、

そもそも授業なんて聞いていない。





「お前、聞いてなかったなーー?」






「ごめんなさい」




そうやって困り気味に俯く私を

先生はいつも明るく優しくなだめてくれる









好きな人が先生になったら勉強が進むなんて

絶対に嘘。

先生のことを考えてしまうし、

気づけば一時間がすぎている

だから、先生が担当教科の化学なんて、てんでだめ。





「桃、お前はそろそろやばいぞー、

放課後、理科準備室でみっちり教えてやる!」




「えーー、先生えっちーー!!!」




「なんだと!?!?

そんな口聞いていいのか!?仮にも先生だぞ!

評価で泣いても知らないからなー!!!」 





そんな、クラスメイトとのやりとりも

聞こえないくらい、私は困惑していた






先生と2人きり!?私には無理だ、

好きな人と急に2人きりにされても、

話せるものも話せなくなる










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