年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!

 父譲りのプラチナブロンドは真っすぐすぎて、癖をつけようにも頑固でストレートにしかならない。

 艶は良いものの可愛らしさには欠けるだろうし、持っている色味に華やかさは少しはあれど美貌の公爵様と並べば霞むレベルだ。

 こんな人と並べるのはどれほどの美女なのか……、ある意味で見てみたいなと考えていたところ。
フィリップ様より事の次第を聞いた公爵様は、私に悲しげな表情を浮かべつつ言ったのだ。

 「シャルロッテ嬢。今はまだいろいろ気持ちも複雑なことでしょう。あなたが落ち着けるように、まずは公爵家の庇護があると示すためにも婚約というかたちを取りましょう」


 一足飛びに結婚ではなく、婚約の形をとるとのことに内心でホッとしつつ複雑に思う。

 あぁ、彼は可哀想な境遇の娘が少しでもより良くなるように一時的に保護するだけだろう。

 彼が来るもの拒まず去るもの追わずで浮名を流していることは、交流のある王都の商人たちから聞いていたからだ。

 「私のような娘が公爵様にご迷惑をおかけして申し訳ありません。ですが、父より年上の男性には嫁ぎたくありません。よろしくお願いいたします」

 ありのままを告げつつ、申し訳ない気持ちが先立つのだった。
 きっとこんな小娘は公爵様の趣味じゃないだろうに……。

 かくして、私とハルバート様の婚約はものすごい速さで整う。
 なにしろ、対面したその日には婚約証がグラディアーク国王に承認されたのたのだから。

 つまり、仮でも口約束でもなくほぼ間違いなく結婚する二人として届け出されたのだ。

 あれ? 公爵様、本気ですか……?

 まさかの拘束力を発揮する婚約証での婚約成立に私は驚きを隠せないまま、このお屋敷での生活二日目を終えたのだった。
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