AIが決めた恋

君と話がしたいんだ

「話とはなんですか?」

放課後、僕は体育館裏で湖川さんと2人きりになった。
原因は、指スマの罰ゲームだ。偽りの告白はせず、本田くん達には適当に誤魔化そうかと思っていたが、そんなことが許されるはずもなく…、本田くんは勝手に、『放課後、蛍貴が体育館裏で話があるって〜。』と湖川さんを呼び出してしまった。

「あの、えっと、その…。」

僕は言葉に詰まる。なんとなく遠くを見つめると、本田くんの姿が見えた。声まで聞こえる距離ではないが、どうやら遠くで僕の姿を見て、面白がっているらしい。

「くだらない…。」

湖川さんが溜息をついて呟いた。

「え?」
「罰ゲームですよね。告白するならさっさとしてください。」

湖川さんの目は明らかに死んでいる。「早く帰りたいからさっさとしろ。」と思っているのが真っ直ぐに伝わってくる。

「知っていたの…?」
「丸聞こえでしたから。」

驚いた。でも、よく考えてみると、本田くんがあれだけ大きな声で話していたのだから、聞こえていてもおかしくはない。あの時、僕達の声が聞こえていたのに、湖川さんは少しも動揺せずに平然と読書をしていたということか…?
やはり彼女は、他の女の子とは違う。異質な存在だ。

佐倉(さくら)くんは、他の人とは違うと思っていたのに。」

何気ない湖川さんの言葉に耳を疑った。
僕が他の人とは違う…?そんなわけはない。僕は何処にでもいるごく普通の男子高校生だ。僕ほど平凡でつまらない人は他にいないと思う。
いや、そんなことより、僕の存在を認識していてくれていたことの方が大切だ。素直に嬉しい。

「結局他の人と同じなんですね。罰ゲームをして私を揶揄(からか)う。どうせ面白い表情なんてしませんよ。(しゃく)なので。」
「違うよ。」

僕は罰ゲームで告白しようなんて思っていない。それに、湖川さんの面白い表情が見たいとも思っていない。
ただ、湖川さんと話がしてみたいだけだ。あまりにも異質な存在感を放っている彼女と。見ているだけではなくて、話がしてみたかった。
まさか、こんな形で希望が叶うとは思っていなかったが。

「その口振りだと、今までにも罰ゲームで嘘の告白をされた経験があるんだね。まったく酷い話だ。」
「えっ…?」
「偽りの告白をするなんて最低だよ。人の気持ちも考えないでそういうことをする人を、僕は絶対に許せない。だから、ゲームでもわざと負けたんだ。」

って…、なんで余計なことまで言ってしまっているるのだろう。本当はこんなことを言うつもりではなかった。今のでは、「僕が君を助けてやったんだ。」というような意味に聞こえるではないか。湖川さんを助けたかったのは本当だが、助けてやったわけではない。僕が勝手に彼女を助けることに決めたんだ。
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