美砂は少し不服そうで、私はごめんねと心の中で謝った。
また裏切っているよね。美砂のために透さんの婚約者になったのに、これではすべて私のためだ。でも今は、どうしても……。

「じゃあ決まりだね。週末に引っ越しを済ませてしまおう。和志くんは我が家に、沙穂は透くんの家に」

父の号令に四人そろって同意の返事をすると、この場は解散となった。

先に美砂と去っていった池畠さんに一瞬睨まれ、ガクンと膝が揺れる。

いつまでも動けずに立ち止まったままの私に透さんは「沙穂ちゃん?」と声をかけてくれるが、私は必死に「すみません、大丈夫です」と笑みを浮かべてみせた。