妖の木漏れ日カフェ
 門まで来ると、人が立っているのが見える。

「キキョウさん」

 名前を呼ぶと、目が合った。

「真由さん」

 数日ぶりに聞いた、キキョウさんの声。

 ああ、好きだな、この柔らかい声。ずうっと聞いていられる。

 耳に心地よく入ってくるの。

 顔を見るとまだ微かに傷の跡があるけれど、ほとんど目立たなくなっていた。

「寒いし、中入ろうか」

「そうですね」

 




< 188 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop