夜空に見るは灰色の瞳
1 この出会いは幸か不幸か
ラッキーなことばかりが続く超絶運の良い日があるように、アンラッキーなことばかりが続くどうしようもなく運の悪い日も、時にはある。

人生とはそういうもので、そんな風にしてバランスが取れるように出来ているのだと、誰かが言っていた。いや、何かで読んだのだったか。

ともかく、私にとってそのどうしようもなく運の悪い日が今日であることは、まず間違いなかった――。


「っ!?」


驚き過ぎて声も出せず、枕元のスマートフォンを掴んで飛び起きたのは、いつもより一時間も遅い時刻。

朝食は諦めてそこから急いで準備しても、当然いつも乗っているバスには間に合わないわけで、調べてみたらギリギリ間に合う電車があったので、それに乗るために駅までの道をひた走る。

そして着いたら真っすぐ切符の券売機へ。

突進する勢いで券売機に近付いていく私に、丁度切符を買い終えて振り返ったマダムがギョッとした顔で身を引いたが、時間がないのでスルー。
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