毎日のように理花のマンションに帰っていた恭吾は理花から合い鍵を預かっていた。でもこの部屋に勝手に入ったのは初めてだった。
いつも理花は外出した様子もなく家の中にいたから。

そこで倒されたままの棚が気になった。
理花が嫌がるのでしてはいけないと思いつつも恭吾はその棚を持ち上げていた。
ばらばらっと沢山の本が足元に散らばる。その中の1冊を手に取るとそれは法律関係の本だった。
恭吾は理花と法律の本があまりに結びつかずに何冊か拾って見てみた。
どれも同じような難しそうな本ばかりだった。めくってみると蛍光ペンでラインが引かれているものもあり、きれいな字でいろいろと書き込まれていた。

「これって理花の?それともほかの誰かのか?」

恭吾は独り言をつぶやきながら本を拾った。
それからできるだけ元通りに棚を戻すとまた何度か理花に電話をかけてみたが結果は同じだった。

恭吾は迷ったが理花の帰りをマンションで待つことにした。

その日は日付が変わろうかとういう頃にようやく理花が帰ってきた。
ふらふらとおぼつかない足取りで中に入ってくると、恭吾を見つけて初めて会った時のような不気味な笑顔になった。

「どこに行ってたんだよ。心配したっ・・・・・。お前…酒のんだのか?」