二人の距離~やさしい愛にふれて~
「りか…さんとは…本名ですか?何、りかさんですか?漢字は?」

そう聞かれて恭吾は固まった…
わからなかったのだ…本人から『りか』だと聞かされてはいたが本当に本名なのか、苗字は何なのかもわからなかった。

「わっ、わかりません…俺もクラブで会って…理花としか聞いたことなくて…」

「わかりました。では他になにかわかることはありますか?」

「あっ、家…マンションはわかります。○×駅の裏にある△△△というマンションです。そこの302号室です。」

「わかりました。少しお待ちいただけますか?」

そう言うと男性はどこかへ電話をかけていた。
それから真と男性は少し話をして一旦帰ることになった。

「あのっ、会わせてはもらえませんか?見たら理花かどうかわかると思うから…」

「今の状態では無理でしょう。顔面が腫れており本人かの識別は難しいと思われますし、時期に意識は回復する見込みだとのことです。また面会は落ち着いてからで。こちらもりかさんのことを調べさせていただきますのでまた改めてお話を聞かせていただきます。」

恭吾は本当に集中治療室にいるのが理花なのかどうかが気になっていた。もし理花じゃなければ今理花はどこにいるのか…
でも自分の力ではどうにもできなかった。

渋々真と茉莉の後ろに着いて一緒に帰った。

作りかけていた夕食を作ると遅めの夕食を久しぶりに3人揃って食べた。

その夜は真が車で理花のマンションまで連れて行ってくれたがやはり理花は帰っておらず気ばかり焦っていた。
(もし襲われたのが理花だったとして…きっとひどい目に遭わされたんだろう…)

病院にいる女性が理花であって欲しいが、理花であって欲しくない複雑な感情で押しつぶしされそうだった。
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