契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
二人の契約書
*******

初夜は何もなく過ぎ、ルームサービスで頼んだブレックファーストを頂く。
フワフワのオムレツにミニサラダ、グラノーラ入りのヨーグルト、厚切りトーストにコーンスープとコーヒー。
昨晩のフルコースから考えると軽めの朝食。

「ダイヤモンドホテルのトーストは柔らかくて弾力あって美味しい」

目の前に座る俊吾さんも私の同じトーストを食べていた。

「いつの間に…小麦食べれるようになったの?」

「・・・中学生ぐらいから・・・少しずつ食べれるようになった。今ではこの通り…今なら君から貰ったあんぱん完食出来るぞ」

俊吾さんのおかげで、私はダイスキだったあんぱんを食べれなくなったとは言えなかった。

彼はトーストを完食し、ブラックコーヒーを啜った。

「チェックアウトした後は杏南、俺達の新居に案内してやる」

「新居!!?」

「ダイヤモンドホテルから少し下った所にある低層の高級マンション『ル・シェル』の最上階の部屋が俺達の新居だ。杏南」

「私達、一緒に住むの?」

「夫婦なんだから…当たり前だろ?まぁ、俺が一人で住んでる部屋に杏南が同居する形だけど」


「夫婦とか言ってる割には…俊吾さんって結婚を仕事の契約にしか思ってないでしょ?」

「違うのか?」

「結婚は愛し合う者同士はする物で・・・」

「俺の父と母が契約結婚だった…二人は結婚する期間や子供の数、生活上の全てを契約書で取り決めて結婚した」
「そうなの?」

「だから、そう思っただけだ…」

俊吾さんの両親の結婚観の影響か…



「…まぁ、予め色々と二人で話をして、取り決めていた方がくだらないコトで喧嘩するコトもないと思う。俺も仕事が多忙だし、家でのトラブルは勘弁したい。円滑に結婚生活を進めて行く為の契約書は必要だと思う」



< 18 / 224 >

この作品をシェア

pagetop