4月の蝉

現在7月下旬、受験勉強に汗と涙を流した結果見事華々しい女子大生になった私は――金欠貧乏まっしぐらです。

「お金、お金がっ…ありません」

ガクッとそのままフローリングに倒れ込んだ私を見つめた友達は呆れたようにして

「そりゃあ雛菊《ひなぎく》ちゃんバイトしてないからだわ、働きんしゃい」

と冷たく言い放った。クッ!冷たいっっ!我が友ながら何たる冷たさ!

「そうなんだけどさぁ〜、だって続かないんだもん。飲食店はもう懲り懲り」

そう言って両腕両足をだらしなく伸ばし大の字になって目を閉じる。
7月にもなると外は暑っついのなんの。しかし汗だくになりながらも久しぶりに会う中学からの親友への愛は負けない。
それにしてもここはオアシス、なんて涼しいの、クーラー最高!!

「ああ〜、前働いてたとこは割とキッチリしてたもんねー、高級的な?」

「そー、しかも着物だし。めっちゃ礼儀作法とか言葉遣いとか覚えたけどキツかったー」

だから次は絶対飲食はいや。けれどもお金は減っていくばかり、なんかないかなぁーいいバイト。
うーむ。私が考え込んでいる間、親友はスマホで調べてくれていたらしい。あっこれいいかもと言う呟きに私は顔を上げた。

「どれ!?」

「これこれ」

親友のスマホを見るとそこにはバイトアプリに掲載されている『小学校放課後児童クラブ 支援員募集』と言う小学生のイラストの入ったページがあった。









そして8月上旬…

現在私は子供たちの声が聞こえるその場所ーの門の前で開いて良いべきかどうしようかとウロウロしていた。

あの後、楽しそういいかもーと思った私は軽い考えのまま応募するを押してしまい流れで面接を受け、じゃあ1週間後からよろしく〜と働く小学校の場所も確認していないまま採用が決まった。

で、現在その職場である小学校前。

これどうしたらいいんだろう。門って勝手に開けてもいいものかしら、小学校ってどうやって入ったっけ、てか誰でも入っていいんだっけ、思い出せないよー!
誰かーヘルプミー!!

ああ〜と頭を抱えていると警備らしきおじさんが来てくれて
「ひまわりの先生かえ?すまんねぇ今開けたるでなぁ」
と親切に門を開けてくれた。
神!おじさんありがとう!

中に入るとちょうど先生らしき人がこちらに走ってきてくれた。30歳くらいの優しそうな男の人だ。

「いや〜ごめんね遅くなって。私『放課後ルーム』の小林といいます、今日からよろしくお願いします。春野さん」

汗をびっしょりかきながらも丁寧に挨拶をして下さる小林先生に私もご挨拶しなくてはと思い帽子をとって自己紹介をした。

「こちらこそっ、よろしくお願いします。春野雛菊です!お世話になります」

「はい、さっそくですが、教室まで案内するので来てください」

「はっはい!」

緊張する〜!
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop