茉莉花の花嫁
「ジャスミンの香りは呪いにかけられた者だけがわかるらしい」

そんな茉莉花に向かって、清瀬が言った。

「そうなんですか…」

（本当に何も知らなかったみたいだな）

返事をした茉莉花に、清瀬は心の中で呟いた。

当然のことだろう。

彼女は何も知らずに、自分が呪いを解く存在である“茉莉花の花嫁”だと言うことを知らずに、今日までを生きていたのだから。

「私が清瀬さんに恋をしたら、清瀬さんにかけられた呪いを解くことができるんですよね？」

そう聞いてきた茉莉花に、
「その代わり、俺は死ぬけどな」

清瀬は答えた。

「呪いが解けたその瞬間に躰が時間の流れに追いつかなくなって死ぬ…鬼が言っていたのは、そう言うことなんだと思う」

清瀬は言った。
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