茉莉花の花嫁
美紀を見送ると、
「茉莉花」

声をかけられたので、茉莉花はそちらの方に視線を向けた。

「えっ?」

茉莉花は驚いた。

「あ、明夫さん…」

そこにいたのは、元恋人の熊元明夫だった。

どうしてここにきたのだろうか?

「何ですか?

今度は結婚の報告にでもきたんですか?」

茉莉花は熊元に向かって言った。

「いや、そうじゃないんだ」

熊元は首を横に振ると、
「すまなかった」
と、茉莉花に向かって頭を下げてきた。

「…はっ?」

何が“すまなかった”と言うのだろうか?

会いにきて早々に謝罪された理由が全くわからなかった。

「俺、本当にどうかしてた」

そう言った熊元に、茉莉花は訳がわからなかった。
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