君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
8
「はぁ?」



中野 神弥は呆れたように聞き返す。



「あんたが花菜の男?ふざけろよ。…花菜の男は俺なんだよ。」



そう言って中野 神弥はさっきよりも強く私を抱き寄せる。


拓海に抱かれていた肩は、今は中野 神弥の大きな腕に抱かれていた。



「ガキがいきがってんなよ。」


「ガキはどっちだ。ガキに脅しかけるとか、大人気ねぇ。」


「な…っ」


「花菜は返してもらうからな。」



言うと中野 神弥は踵を返し、私の肩を抱いたまま拓海に背を向ける。


私も中野 神弥に続いて拓海から離れると、拓海はあっという間に人混みに消えてしまった。



「…行くぞ、花菜。」


「あ、待ちなさいよ!」



拓海のあの目…


3年前と全然変わってなかったな…
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