君は私の唯一の光

君とのさよなら said 乃々花

「ののかおねーちゃん!お絵かきしよっ!」



「うん、いいよ〜。」




松原さんが来てから数日後、陽菜ちゃんと夕菜さんがお見舞いに来てくれた。



陽菜ちゃんは、元気いっぱいで、今から絵を描こうと張り切ってる。



夕菜さんは、例の好きな人から連絡があったみたいで、すぐに病室から出ていった。





「ののかおねーちゃん見て!うさぎさん!」





「ほんとだ、かわいい〜!」






小さい子特有のリアリティ皆無の絵。でも、それがすごく可愛い。




さっき、私のベットによじ登る陽菜ちゃんも可愛かったけど。





一生懸命、いろんな動物を描く陽菜ちゃん。小さい子と遊んだ事がない私から見たら、すごい癒し。





検査に行ってて病室にいない洸夜くんは、この光景を見たら、どう思うんだろう。




やっぱり、お姉さんたちがいることに驚くかな。





目の前にいなくても、洸夜くんの事を考えてしまう私は、そうとう重症な気がした。





「ののかおねーちゃん、好きな(しゅきな)(いりょ)って、なあに?」





「んー、何色がいいと思う?」




「ののかおねーちゃんは、ピンク(ぴんきゅ)がいいと思う!」





「それじゃあ、ピンクでお願い。」





「はーい!」





そう言って、何かを書き出した陽菜ちゃん。熱心に色鉛筆を握る様子にほっこりした。でも、同時に、こんな時間を過ごせるのも、あとわずかなんだな、とも思った。



< 20 / 97 >

この作品をシェア

pagetop