先生がいてくれるなら②【完】


「今度、うちの会食にお前も来いって、親父が」


ほぼ毎週末恒例のお家デートの途中で、唐突に先生がそう口にした。



「……え?」


意味が全く分かりません。


私は、そう態度に出して、しっかりと首を傾げる。



「だから、親父が、お前を連れて来いってさ」

「えっ、なんでですか……?」

「知らない」


不機嫌全開な先生。


いや、お父様への不満を私に向けて放たないで下さいよ~。


「私なんかが行っても良いんですか? その、場違いでは……」

「親父が呼んでるんだから、大丈夫なんじゃない?」

「……そう、ですか」


そもそもどうしてそう言う話になったかと言う理由を、先生はポツリポツリと説明してくれた。



私が本城さん達に呼び出されて怪我をした時の事。


個室と光貴先生を私のためにつけて欲しいと藤野教授に頼んだ時に、交換条件として家族の会食に2回出席するようにと言われたそうな。


そう言えば、光貴先生に交換条件の事は聞いてはいた。


すっかり忘れていたけど。


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