その手をつかんで
こんなパーティーに来る知り合いもいないし……と思っていたところに知っている人物に会う。


「まあ! 明日花ちゃん、かわいいわー。元気にしてたかしら?」

「ご無沙汰しています。ありがとうございます」


私たちの前に現れたのは、シックなネイビー色のドレスを着た蓮斗さんのお母さん。大学生の時に、瑠奈に招待されて結城家に何度かお邪魔させてもらったことがある。

なので、お母さんとは顔見知りだった。蓮斗さんと社長に遭遇したことはないが。

以前からとても品のあるおばさまと思っていたが、こういう場にとてもよく馴染んでいてさすがだ。


「父さんは?」

「今、常磐さんと話しているわよ」


常磐さんとは、多分ゆかりさんの親。ゆかりさんもこの会場にいるかもしれないと、つい周囲を見渡す。

彼女には出来ることなら、会いたくない。


「明日花ちゃん、本当にごめんなさいね。主人がとても失礼なことを言って……私や瑠奈が何を言っても聞かなくて、頑固な人は困るとつくづく思ったわ」

「いいえ。瑠奈さんと庇っていただき、ありがとうございます。今は誤解もとけて、認めてもらえたので嬉しいです」
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