ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
06.絡み合う想い

こめかみの部分にくすぐったさを感じて、わたしはジャージの袖で垂れてきた汗を拭った。

ジリジリと肌を焼くような陽光に、不思議と嫌悪感はなかった。

グラウンドいっぱいに飛び交う声援に混じって、美月と一緒になって声を出す。

今日の空は雲ひとつないまっさらな青色で、——体育祭当日にはもってこいの、晴天だった。





「次、なんだっけ?」

「えーっとね……」


椅子の背に引っ掛けてあるバッグからプログラムを取り出して、確認する。


「1年生の綱引きだって。その次、わたしたち、騎馬戦だよ」

「げっ。もう出番か……待機ってあっちだっけ……」

「みんなもう集まりだしてるかも。そろそろ行こっか」


プログラムをバッグの中に戻すと、すっかりぬるくなってしまったスポーツドリンクで喉を潤してから、わたしたちは重い腰を上げた。
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