独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする【番外編】
ダイエット大作戦

どうしよう。このままでは大変なことになってしまう。

結婚式を一ケ月後に控えた土曜日の夕方。フィッティングルームの鏡に映った自分の姿を、信じられない思いで見つめた。

* * *

結婚披露宴の打ち合わせが終わってホテルを後にすると、樹さんのマンションに向かい、ふたりでキッチンに立って料理を作る。

こんがりと焼けたハンバーグにつけ合わせのサラダを添えれば、メイン料理の完成だ。

「いただきます」

声を合わせて挨拶すると、樹さんがハンバーグを口に運んだ。

「ん、おいしい」

彼がニコリと笑う。

大好きな人と一緒にとる食事は、とてもおいしく感じるから不思議だ。

樹さんに微笑み返すと、サラダのトマトをパクリと頬張り、豆腐とワカメのみそ汁に口をつけた。

「箸が進んでないようだけど、どうしたの?」

いつまでもハンバーグに手をつけない私に、樹さんが気づく。

「あまり食欲がなくて」

「食欲がない?」

「はい」

樹さんが血相を変えてイスから立ち上がり、私のもとに来て額に触れた。

< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop