過保護な君の言うとおり
この先地獄ゆき
私が小池と図書委員の当番をしていた時、一番会いたく無い人物がやってきた。
私を見つけたその人は、一直線にこちらに向かって手を振る。
「玲。久しぶり、会いたかったよ……」
私のひとつ上の先輩。
そしてトラウマの相手、『三島 洸』は人の良さそうな笑みを浮かべる。
私は怖くなった。
もう終わったと思っていたのに、まるで、続きを始めようとするみたいに微笑みかけてくるから。
「本を借りないなら、話しかけないで」
「あれえ? ずいぶん冷たくなったねえ、玲。もしかして俺との思い出を忘れちゃってるのかなあ。あんなに楽しかった思い出を」
「楽しい? ……なにを言ってるんだ」
私がそう言うと、洸はクスクスと喉を震わせて笑った。その笑みが悪魔じみていて、恐ろしい、まさに恐怖そのものだ。
「だ、大丈夫? 宮代さん」
小池が私の様子に気づき、声をかけてきた。
「……問題ない」
私は正気をかろうじて保っていたが、本当は誰かに泣き付きたいくらいだった。
呼吸が次第に早くなっていく。
「大丈夫には見えないよ……」小池が戸惑いながら私の背中をさすってくれる。