傷つき屋
いびつな三角関係
アキオ、と投げられた名前が後頭部にぶつかる。
振り返ると、廊下の向こうからマコトが何かを放った。

低い放物線を描いて、購買のコロッケパンが胸の中に飛び込んでくる。

「俺のおごり」

同じコロッケパンを右手に持って笑い、「岬と付き合えたお礼」と得意げに鼻をこする。

「え、付き合ったのか?」

「まあ付き合ってはないけど、付き合えたようなもん」

なんだよそれ、ライン見せろよ、と睨む。
ていうかそもそも俺は何もしてない。横にいただけだ。マコトが、勢いに任せて本音を好き勝手に喋っただけだ。



少しだけ間を置いて、胸の端っこを針で刺された気がした。
俺は本音を好き勝手喋れたことなんて、生きてきて一度もねえな、なんて。


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