蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


「蓮、お仕置きだ」


大ちゃんの低い声が聞こえたと思った瞬間
ぐらりと身体は傾いていて

間近に見えた鋭い双眸に囚われた時には

大ちゃんの向こう側に見えたのは天井だった


「・・・んんんっ」


噛みつくように始まった口付けは性急で濃厚


耳から聞こえる水音は
身体に初めての火を灯す


「・・・んっ・・・っ、ふ」


大ちゃんの大きな手に包まれた私の手は
その熱さに湿り気を帯びてきた


・・・苦しい


酸素を求めようと口を開けば
その隙間でさえ大ちゃんの舌が支配してしまう


やがて・・・


啄むように変化した唇が離れると
その唇が首へと移動を始めた


「・・・っ」


チュッ、チュッとリップ音を立てて肌を滑る唇は

徐々に首を滑り降りる


病衣の胸元まで辿り着くと
チリッとした痛みが走った


痛いと思った瞬間には
その場所をなぞるように舌が舐めとる


「んっっ」


鼻から抜けた甘い吐息に
驚いて身じろぎすれば


シュルッと腰紐が解かれた


「・・・っ」


驚きと衝撃で身体が強張る


そんな私のことをクスッと笑った大ちゃんは


はだけた胸元にもう一度口付けると


「綺麗だ、蓮」と離れた


「今回のお仕置きはここまで」


そう言って病衣の紐を結び直してくれた


「真っ赤」


態々口にするほど
分かりやすく火照る身体


「・・・だって」


「この身体に触れて良いのは俺だけ
もちろん反対もだ蓮」


一度視線を絡ませると


「俺が好きなのは蓮だけだ
俺に触れていいのも蓮だけだ
分かったか?」


「うん」


「今のは俺に彼女がいたか疑ったお仕置き
次は“大ちゃん”と二回呼んだお仕置きな」


意地悪く笑った


「・・・え」


シマッタと気づいた時には既に遅くて


「・・・や、っっ」


合わせた唇から
気力を全て吸い取られた





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