雨の巫女は龍王の初恋に舞う
序章
 しゃらん


 ぬばたまの髪につけられたいくつもの透明な石英が、彼女たちの動きに合わせて硬質な音を響かせた。

 重さを感じさせぬ軽やかな足取りで舞を舞っているのは、若い巫女たち。

 その身を飾る色とりどりの衣は、ひらりふわりと浮いてはゆっくりと落ちていく。それはまるで、水の中をたゆたう優美な金魚を見ているかのような幻想的な光景だった。



 今年即位した若き皇帝、龍宗の前には、六人の若い娘たちが、そろいの衣装をまとってしなやかに舞っていた。

 十五歳から二十三歳までの六人の娘たちは、雨ごいの舞を舞うことでこの地に雨を呼ぶことのできる雨の巫女だ。 

 古の盟約により、龍宗はこの中から必ず、皇后を選ばなければならない。

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