カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
突然の種明かし






それから四日が経ち、水曜日。

宣言通り私は月曜から出勤しており、今日も同居してから三日目の業務を終え、隼世さんの自宅へと帰る時間になった。

隼世さんは最近残業が多くなり、私とは帰る時間が大きくずれる。

部長と三人になったオフィスで、私が先に課長席で「お先に失礼します」と頭を下げると、

「お疲れ様でした」

と隼世さんはちらりと私に視線をやっただけで、すぐにPCに目を戻す。

会社では、なにも話せないからしかたない。
私もとくにそれ以上はなにも言わず通り過ぎ、隣の部長に同じように挨拶を済ませた。

扉を出ていく前に最後に振り返っても、彼はこちらを見ない。


オフィスを出ると、裏手の駐車場に白の軽自動車が停められており、運転席で近藤さんがボーッとフロントガラスを眺めて待っている。

初日に宣言された通り、朝は隼世さん、迎えは近藤さんが担当してくれているのだ。

コンコンと助手席の窓を叩き、

「お待たせしました」

と覗きこむ。

鍵が開き、近藤さんは「お帰りなさいませ」と真顔で会釈を返した。
< 120 / 228 >

この作品をシェア

pagetop