カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

初日、そしてその次の日曜日、私たちは身を焦がすようなキスをした。

しかしそれからなにもないのだ。

朝もなんとなく世間話をして、行きの車の中では仕事の話、会社ではただの上司と部下のふり。
帰ったらさぞや甘い夜を過ごすのかと思いきや、近藤さんの作った夕食を食べて別々の寝室で眠るだけ。

思い返せば初日も翌日も先にキスをねだったのは私だったため、今は意地でも私から誘わず待ちの姿勢をとっていたら、こうなってしまった。

私がなにかしなきゃ、向こうからは手を出してこない。生理は終わったし、こちらのコンディションは整っているのに。

隼世さんはこれで本当に、私にアプローチをしているつもりなのだろうか。
不器用と言えばそうかもしれないけど、なにか少し違う気がしている。

後ろめたいことがあるような、それとも言いにくいことがあるような。

まるでこの数日で、私のことが好きなのは間違いだったと気づいたみたいに。

もしそうだったら、と考えると、ずんと気分が重くなり、胸の奥がザワザワとする。
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