昔から、イルエマニエル王国には、あやかしや精霊といった存在があった。もっとも近しいのが、あやかしの妖怪国であるが、それでも異種間の交流といったことはほとんどない。

 ――人は、異なる存在を恐れた。
 ――あやかしは、異種族を否定する〝弱き者〟に興味を抱かなかった。

 彼らは、人間が持つ魔力とは違う強い力を持っていた。人間とあやかしの大きな衝突があった折り、『互いに害をなさない代わりに関与もせず』といった協定が結ばれた。

 以降、妖怪国の大物たちは沈黙した。

 それから長い年月を経て少しずつ、人間に親しみを持つ弱き種族が人里に姿を見せ始め、不思議な力で村人たちの生活を手伝ったりした。人間の中にも、彼らに親しみを覚える者たちが出始めて一部交流が持たれた。

 だが、人間の貴族たちからは、相変わらず毛嫌いされていた。不思議な力を持ち、人とは異なる姿と思考を持った化け物だ、と。

 ――けれど、だからこそ縁を持つべきだ、という声も上がっていた。