夜中散歩が、週に二回行われるようになってから――二週間後。

 すっかり忘れていたそのタイミングで、レイド伯爵邸に王宮から手紙が届いた。そこには「是非、婚約を前提に、一度第二王子と顔合わせを」と揺るぎない希望の意思が書かれていた。

 ――つまり、見合いである。

「マジか……」

 玄関フロアにて、すぐに手紙の内容を確認したツヴァイツァーが素の口調で呟いた。浮いて便箋を覗き込んだリリアは、何も言えず沈黙している。

「まぁ、やっぱりそうきますよね」

 やや間を置いたのち、アサギが面倒そうに頭をかいて言った。

 伯爵邸内の菜園から、急きょ呼び戻された三人がしばし玄関フロアで佇んだ。その様子を気にして、使用人達が仕事を進めつつチラチラと視線を寄越していた。

 届いた手紙には、見合いに第二王子を訪問させる旨が記されていた。そのためレイド伯爵へ、都合のいい日付けを伺う文が書かれてある。

 急な予定であることに配慮して、わざわざ第二王子が訪問する。

 とはいえ、それは見合いが、あちらで一方的に決定されたからだ。断る言い訳を絶ってきたやり方が、実に嫌な感じだった。