とはいえ国王も含めて、そんなことを口にできる雰囲気ではなかった。

 新婚ほやほやで嬉しさを隠しきれない夫に代わって、妖怪国の姫が、レイド伯爵と父の妖怪王との話し合いの結果を伝えた。

【子は人間界で産み、レイド伯爵が育てる】

【妖怪国は強く干渉しないが、どちらの世界に住みたいのかは、子の意思】

 二人が飛び立った後、王宮内は一気に忙しくなった。

 ようやく結婚をしたオウカ姫を祝うべく、その婚姻を認めた人間の国王へ礼の品が、あやかし達から続々届けられたのだ。友好を深めるチャンスを逃さないよう、種族別の好みを聞き出して国王から祝い返しを行った。

「陛下、巨人族の代表が町の中央に現れまして、身動きが取れず困っているようです。挨拶をしたいそうなのですが、歩くと街を踏み潰してしまうと使者に訴えております」
「……サイズを小さく出来る魔法使いをかき集めて、丁寧にご案内申し上げろ」
「陛下、上空に現れた三つ首の大蛇ですが、人型になってくれたまでは良かったものの、力のない人間がそのまま目を見てしまうと、命を奪ってしまうとのことで」
「なんだって?」
「はい。ですから目を閉じて頂いたのですが、肌に触れると痺れ毒が回るようで、案内しようとした第二小隊が全滅しました。案内も出来ず、硬直状態が続いておりまして、双方大変戸惑っております」
「…………それも魔法使いに至急、都合のいい目隠しを用意してもらえ。それをプレゼントしてさしあげろ」

 そう、国王が不眠不休で大忙しの中、レイド伯爵の方では、幸せいっぱいのハネムーンだった。