この一年、リリアは学院に入るためだけに猛烈に勉強に打ち込んだ。領地からはかなり遠い距離だが、空を飛べば一時間もかからない。

「私、どうせなら領主になるわ。この婚約が終わったら、父様の手伝いをがんがんする。後継者として領地経営に励んで、ゆくゆくは伯爵になるの!」

 嫁ぐか家を継ぐかと言われれば、数少ない女領主になってやろうではないか。

 学院があるのは王都の大都会だ。そんなところへなど通いたくなかったが、将来父の仕事を手伝うには必要だったから、通う決意をしたのである。

 それから学院生として、週に数回、希望する科目の授業を受ける日々が始まった。

 狐の耳も隠さなかったし、髪だって他の令嬢達みたく飾ったりしなかった。一人だけ存在が浮いていたが、つんっとして平気で過ごした。

 それに合わせて、リリアはこれまで断っていた社交デビューも果たした。父ツヴァイツァーの少ない社交に付き合い、パーティーや茶会の出席についていった。