奥手な二人の両片思い
ドキドキの仮装の日



「今日は、仮装の日の代表者を発表します」

「おおーっ!」

「待ってました!」

「早く早く!」



勉強会から1週間が経った、10月上旬。

今日のロングホームルームは、仮装の日の代表者が決まるらしい。


毎年ハロウィンの時期に行われていて、ざっくり説明すると、仮装してお菓子を貰いに行くイベント。


この学校は元男子校なんだけど、当時の生徒が作り出したもので、長年続いているんだ。

仮装のクオリティが高く、生徒達のテンションが上がる行事の一つでもある。



「えーっと……代表者候補は、樫谷さんと綿原さんね」



えっ⁉ 私⁉



「ちょっ、夏穂ちゃん、これは一体……」

「ごめんね菫ちゃん……実は推薦してたの……」

「えええ⁉」



ちょ、ちょ、ちょっと! 聞いてないんだけど⁉
他の候補者はいないの⁉



「綿原さんはたくさんの人から推薦されてますね」

「本当ですか⁉」



思わず大きな声が出てしまった。
夏穂ちゃんと一緒なら安心だけど……私に務まるのかなぁ。



「お二人に賛成の方は拍手をお願いします」



先生の声に、教室中からパチパチパチと賛成の音が。

ほぼ全員拍手してる……。
これはやるしかなさそうだ……。



「あの、仮装は何をするんですか……?」

「このクラスはゾンビの仮装をしてもらいます」

「ゾ、ゾンビ⁉」



またも大きな声が出てしまった。

魔女とか吸血鬼とか、ハロウィンって感じのやつかと思ってたけど……まさかゾンビ⁉
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