許す事ができるの?

···優しさ


翌日、教頭先生へ
昨夕の話をしてお昼から
早退をさせてもらった。

咲茉も半日だから
一緒に上杉さんの元へ行く。

パジャマとか、好みがあると
思うが咲茉と二人で選んだ。

咲茉が手にしたものが3L?だったので
他のも同じサイズにした。
小さいと着れないが大きいのは、
何とでもなる。
下着も店員さんに選んでもらい購入した。

タオル等は、家にある新しい物を
洗ってからもっていく。
買ったばかりのものは、
水気をすわないと思い·····
簡単なお弁当も作り一緒に
もって行く。

上杉さんは、脳の検査も
異常なく明日退院だと教えてくれた。

おでこは、ガーゼが貼ってある。
あちこちにもヨードチンキや
カーゼが貼られている。

パジャマも下着もタオルも
とても喜んでくれた。
咲茉が
「私が選んだの。」
と、パジャマを指差して言うと
「ありがとう。」
と、言っていた。

お弁当は、せっかく食べるなら
中庭で食べようと言う事になり
一緒に移動する。

立ち上がると
上杉さんは、とても背が高くて
びっくりした。
咲茉も
「陽ちゃん、おっきい。」
と、言うと笑いながら
「そう?187センチぐらいだよ。」
と、答えていた。

ベンチに腰かけて弁当箱を開くと
上杉さんは、パァッと明るい顔をして
パクっと、食べ
「美味し!」
と、言いながら食べ進め
「こんな美味しい料理を食べれる
ご主人は幸せですね?」
と、言う。
「ご主人?咲茉は、パパいないよ。」
と、咲茉が言うと
上杉さんは、目を開き
「ごめんね。すみません。」
と、咲茉と私に謝った。

私は、首を振り
咲茉は、
「咲茉は、ママがいるから。」
と、言うと
上杉さんは、咲茉の頭を撫でながら
私を見て
「咲茉ちゃんの身体、大丈夫でしたか?」
と、訊ねるから
「はい。痛みもなく傷もなかったです。
本当に上杉さんのお陰です。」
と、頭を下げ
「学校の方は、大丈夫ですか?」
と、訊ねると
「あっ、他の先生が入ってくれた
そうです。」
「そうですか?良かった。
でも、学校にもご迷惑をかけてしまい···
「荒垣さん、もう大丈夫ですよ。
気にしすぎです。
夜、眠れなかったのでは
ありませんか?」
と、私の言葉に被せて訊ねてくれた。
「······あっ····はい···」
「疲れた顔をされてます。」
と、優しい彼の言葉に
「咲茉が、いなく····なる·····
と、涙が流れる
上杉さんは、優しく私を抱き締めて
「大丈夫。大丈夫。
咲茉ちゃんは、ここにいます。」
と、言いながら
私の背中をポンポンとして
咲茉の頭を片手で撫でていた。

上杉さんの胸が温かくて
知らない方に·····とか
男性に····とか
嫌···だとか、気持ち悪い····とか
全く感じる事はなかった。

「すみません。
ありがとうございます。」
と、お礼を言うと
「私で良かったら
いつでも頼って下さい。」
と、言われて
「でも···
と、言っていると
「私が、その方が良いのです。
お願いします。」
と、逆に頼まれてしまい
可笑しくて笑ってしまうと
咲茉も笑いだして
上杉さんも笑っていた。

それではと、連絡先を交換した。

恵は、自分は中学校で音楽の教師を
していますと伝えると
上杉さんは、びっくりしていた。

咲茉は、
「小学校に入学したの。」
と、話していた。

私達は、中庭の入り口で
別れて上杉さんは、病室へ
私達は、マンションへと帰った。
< 23 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop