許す事ができるの?

···戸川 朱里


副社長から連絡があり
水島建設へと向かう

受付を通り過ぎようとした時····
「戸川さん、お待ちください。」
と、受付の社員から声をかけられた。
「なに?」
と、言うと
「副社長より、
こちらでお待ちするように言われて
おります。」
と、言われ
受付の隅のソファーに腰かけた。

受付が連絡をしたのか
顧問弁護士の田辺先生が
私の前に立ち
「私に着いて来て下さい。」
と、言われて
田辺先生に着いて行き
エレベーターにのる

田辺先生は、会議室フロワーで降り
一番小さな会議室をノックした。

中に入ると
社長、副社長、人事部長、秘書管理室長
と田辺先生。

その五人の前に
一人座らされた。

手に汗が吹き出る·····

人事部長から
「異例ですが、戸川 朱里
あなたに明日付けで
北海道、稚内市へ異動を命じる。
不服がある場合は、辞めて頂いて結構。
ですが、その場合は、
退職金等はありません。
異動の場合は、異動費も出します。」
と、言われた。
「なぜっ····
「あなたは、自分が何をしたのか
わかっていないのですか?
もしかしたら、人、一人、大変な事に
なっていたかもしれないのですよ。
それも、あなたの勝手な思い込みと
妬み、恨みで。
社長や副社長の計らいに
不服でしたら懲戒解雇となり
会社としても問題とします。」
と、田辺先生から言われた。
「なっ、わざとしたわけでは···
「あんたがぶつかった事に
違いは、ないだろう
文句を言うために荒垣さんに
近づいたんだろ!
わざとじゃない、は通じない。」
と、副社長から言われて
返す言葉もない
でも····
「社長は、良いと····
「社長は、俺だ。
まあ、父にも話しは通してある。
父のお気に入りだったらしいから。
だがな、父には、もうなんの力も
ないんだよ。」
と、社長に言われて
私は、ガックリと肩を落とした。

秘書管理室長が
「戸川、警察ざたにならなかった
事に感謝しろ。
あちらのお母様が
警察には知らせないと
言ってくれたのだ。
その言葉に感謝して
北海道へと行け。」
と、言った。

朱里は、後立てがなくなった事に
力が抜けて
「北海道へと行きます。」
と、言った。

人事部長より辞令を頂き
田辺先生からは、
荒垣 恵さん
荒垣 咲茉さんに対し
接触をしません。
と、言う書面を渡された。

もし、この件に反する場合は、
警察に通報し、会社への損害を
支払う事
と、書かれていた。

その書面にサインをして
印鑑をおす。

この席に専務がいないのが
気になったが····
「あっ、青木 律にも
二度と近くな。
まあ、近けないか。
律は、水島建設を辞めた。」
と、副社長に言われて

辞めた·····?·····と、思っていると

「荒垣さんは、まだ、事故の
後遺症と戦っております。
娘さんの事故を思い出すと
体中がふるえ、自分で制御する事が
出来ないのです。
あなたは、自分の思い込みだけで
あんな小さな子供を恐怖にさらしたのです。
ご自分のお子さんが
出来た時に、わかると思いますよ
我が子を失うかもしれない
恐怖を。
日々、悔い改めて生きて下さい。」
と、田辺先生は言った。

私の席の私物は、
箱に入れられ渡された。

私は、
社長、副社長、人事部長、
秘書管理室長、田辺先生に
頭を下げて、箱を持ち
会議室をでた。

回りからの目が気になるが
荷物があり助かった。

まだ、自分を
正当化をしている自分がいた。
だが······
もう、全てから逃げ出したかった。

マンションの不動産屋さんに
連絡をして
異動と伝えると違約金も発生しなかった。

稚内市の営業所に連絡をして
住まいを決め
引っ越しの手配をした。

明日は、昼からで良いと
あちらから言われたので
社長(元)の病院を訪れたが
社長は、転院をした。
なぜか、聞きたかったが
個人情報だと言われた

病院をでると
なんか気持ちが吹っ切れていた。
引っ越しの業者が来る時間となり
急いでマンションへと戻った。
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