呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?

第5話



 残されたシンシアは俯き、尻尾をだらりと垂らした。
 状況が状況だけに仕方がないのかもしれないが、期待していただけに落ち込みは激しい。
 一人で悲嘆していると後ろから声を掛けられる。
「んもう、ユフェ様ったらこんなところにいたのね」
 後ろを振り向くと、腰に手を当てたロッテが仁王立ちしている。

『ロッテ……』
「勝手にいなくなっちゃ駄目よ。他の動物さんたちに訊いて回って、やっと居場所を教えてもらったのよ」
 ロッテは優しくシンシアを抱き上げるとぽんぽんと背中を叩いてくれる。
「どうしたの? なんだか元気がないみたい」
『大丈夫。何でもないわ』


 シンシアは尻尾を揺らすとロッテの腕に身を預けた。
 その後、歩き始めたロッテが他愛もない話をしてくれるがシンシアはずっと上の空だった。

 暫くすると辺りが湿っぽくなって、それと同時にロッテが明るい声色でこう言った。

「さて着いたわ。準備も整っているからさっそく綺麗に洗っていくわね」

 綺麗に洗う。今から洗濯でもするのだろうか。そんな呑気な考えが頭に過った途端、たちまち自身の置かれた状況を思い出す。

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