恋愛境界線
scene.04◆ ロイヤルストレートフラッシュ並みの好条件
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「──で、君には友人の一人もいないのか?」


メイクを落とし、服も着替えた若宮課長が、私の正面に腰を下ろした。


なぜこんなことを訊かれるのか判らないけれど、この言い方はいかがなものか。


もし本当に私に友人の一人もいなかったら、どうしてくれるんだろう。


そう思いながら、「友人ならいますけど……」と呟く。


さっきはどこからどう見ても女の人にしか見えなかったのに、今は女顔の男にしか見えない。


課長の女顔は今に始まったことじゃないから、この場合は“女顔ではあるけれど、どこをどう見ても男にしか見えない”と言うべきか。


そんなことを考える私に、続く言葉を待っていたらしき若宮課長は、「だったら、どうしてよりにもよって私の所なんだ?」と、続きを促してきた。


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