皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】


「⋯⋯デモはすぐに収まって、橋の工事視察をしていただけなんでしょう?」

「⋯⋯⋯⋯」

「なんで、こんな怪我を⋯⋯?」


治療中のルイナードへ、立て続けに問いかける。


左前頭部には縫合の痕。その上澄みには腫れた打身の形跡。

思わず目を背けたくなるほどに痛々しい。

一体どんな経緯でついたのか、わからないけれど、この傷によりルイナードがとても痛み苦しんだということなら想像できる。


でもルイナードは何も答えようとはしなくて⋯⋯。


そんな彼に、どかしい想いを昂らせていた、そのとき。


「⋯⋯視察の途中で瓶を投げつけられたと、聞いてきたよ」


代わりに背後から声が降ってきた。

< 186 / 305 >

この作品をシェア

pagetop