時間切れ

一也side


一也は、自宅に戻り、ソファーに座った。


俺… 知り合いとはいえ、赤の他人で…

でも、いつも頭の中は、典子さんと陸がいて…

陸に頼られたり、お願いされると放っておけないし、嬉しい…

最初はただの依頼人と思っていた典子さん。

でも、10年くらい前からの旦那の浮気の証拠があったのに…
陸の為、姑の弘美さんと離れたくないという理由で我慢してた人…
情の深い人… 思いやりがある優しい人…

普通は、さっさと離婚する奥さんが殆どだが、彼女は凛と筋がある真面目な女性だと思った
ハハハ!  知らないうちに…そんな彼女に惹かれていたんだなぁ…

今頃になって、はっきり自覚した馬鹿な俺。

彼女は俺なんかの為に美味しい弁当を作ってくれる…
俺もその優しさに漬け込んで夕飯まで食べている。

俺は、家族とはこういうものだと、2人から教えてもらっているんだなぁ〜

そして、典子さんが誰か他の男と結婚したら?

典子さんと陸が、俺の前から居なくなったら…
俺はどうなる?
やっぱり、耐えられないわ〜

この温かさを知ったからには… ハァ〜

どうすれば良いか、今夜はじっくり考えよう。

結論だけは決まってる。

慎重に進めなければいけないミッションだ。

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