「鷹政さま、大変だ! 凛が中央病院に運ばれたって!」
 松平侯爵家の使い?
 凛が病院? いったいどういうことだ?
 ふたりの後ろにいる右京に目をやり詳しい説明を求めると、彼は俺の目を見て静かな口調で報告する。
「松平侯爵家の使いが見えて、保科凛が会社で倒れて病院に運ばれたとの連絡を受けました。なぜ松平侯爵家の使いが来たのかわかりませんが」
「松平侯爵の次女が凛の同僚なんだ」
 彼にそう答えながら考えを巡らす。
 確か松平春子と言ったか。
 おそらく会社で俺と凛が親しくしていたから、気を利かせて知らせてきたのだろう。
「病院に様子を見に行ってくる」
 皆にそう告げると、幸太が俺に訴えた。
「俺も行きたい。凛が心配だから」
「わかった」
 コクッと頷き、幸太を乗せて凛が運ばれた病院へ向かう。
 病院の面会時間は過ぎていたが、幸いうちの系列の病院で事情を話して宿直の看護師に凛の病室を教えてもらい病室へ行くと、偶然保科伯爵と橋本清十郎を見かけた。