別邸に戻って書斎にこもるとすぐに伊織と右京が俺の部屋に入ってきた。
「なにかわかったか?」
 前置きなしにふたりに尋ねたら、まず伊織が答えた。
「どうやら保科伯爵は競馬で多額の借金をしたそうです。その競馬場は橋本財閥が運営しているようで、橋本清十郎が伯爵になにか話を持ちかけたらしいですよ」
「私が調べたところでは、借金は二万円ほどあるようです」
 右京も凛と話して気になったのか、伯爵家の家計状況を調べてくれたようだ。
「ふたりが病院にいたということは、多分凛絡みなんだろうな」
 顎に手を当て呟く。
 借金は帳消しにするから凛を渡せといった話なのだろう。
 もう伯爵のもとに彼女を置いておけない。
「どうしますか?」
 真剣な面持ちで聞いてくる伊織の目を見て告げる。
「明日、伯爵が反対しようが凛をうちに連れてくる」
 凛への気持ちを自覚した以上、俺の覚悟は決まった。
 全力で彼女を守る。