「謝らなくていい。もう誰もお前を捨てたりしない。だから、安心して眠れ。俺もしばらくついているから」
「でも、そんな迷惑をかけるわけに……」
 彼女の唇に指を当てて黙らせる。
「俺はお前の婚約者だ。迷惑だなんて思わない。もっと甘えていい」
 優しく告げて凛に布団をかけると、自分も彼女の横に寝そべった。
「鷹政さん……心臓がドキドキして眠れません」
 落ち着かない様子の彼女の言葉を軽くあしらう。
「そうか? だが、そのうち慣れる。気にするな」
「いえ、気にします。あの……その……私、男性と一緒に寝るのは初めてなんです」
 彼女の告白がかわいくてつい頬が緩みそうになるが、グッとこらえて表情を変えずに伝えた。
「それは奇遇だな。俺も惚れた女を寝かしつけるのは初めてだ」
「鷹政さん……おもしろがってませんか?」
 横にいる俺をジッと見る彼女の頭を撫でながらニヤリとする。
「いや、真剣に凛を寝かせようとしている。ほら、早く寝ろ。でないと、今ここでお前を抱く」