ベッドの向かい側には木製のビューロー、その横にはベントウッドチェアがあって、とてもお洒落。
 ビューローはデスクとしても使えるし、本も置ける。
 まるで私のために用意してくれた寝室のよう。
 壁にかかっている真鍮製の振り子時計に目を向けると、時刻は午前六時二十五分。
 いつもより遅く起きてしまったが、今日は野菜の収穫もないし、会社もない。
 鷹政さんに視線を戻すと、彼はまだ眠ったまま。
 白いシャツを着ていて着替えた様子はない。
 私を寝かしつけるつもりで、疲れて寝てしまったのだろうか?
 総帥になったんだもの。仕事もかなり忙しいはず。
 それなのに、昨日は私を病院に迎えに来てくれた。もし、彼が現れなかったら、私は橋本清十郎にどこかに連れていかれただろう。
 父に一万円で売られたショックは相当なものだった。絶望感に襲われた私を救ってくれたのは鷹政さんだ。彼がいなかったら、まだベッドで泣いていたかもしれない。