『凛が望むなら、今ここで抱いてもいいが? もっと触れてほしそうな顔をしている』
 彼女の頬は紅潮していつもと違う女の顔になっていた。そうさせたのが俺だと思うと、内心嬉しかった。
『そんなことありません! 初夜でお願いします』
 自分がなにを言ったか彼女はわかっているのだろうか。
 凛が初夜に自分を抱けと俺に頼むなんてな。
 彼女の言動がおもしろい。
『残念。だが、初夜が楽しみだな』
 笑みを浮かべてそう告げたら、凛の顔は緊張からか少し強張っていた。
 明日は恥ずかしがって俺の顔をまともに見てくれないかもしれないな。
 浴場で最後に見た彼女の顔を思い出してクスッと笑うと、コンコンとノックの音がした。
「はい」と返事をすれば、伊織と右京がドアを開けて現れた。
「電力会社買収の件、ちょっといいですか?」
 資料を手に持ち俺に確認する右京に「ああ、入れ」と促す。
「今ちょうど報告書を見ていたところだ」
 右京にそう伝えたら、彼は持っていた資料を俺に見せた。