2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
兄弟の優しい時間
夜になって仕事を終えた私達は、車で樹さんを迎えにいった。
3人での食事は、柊君が好きな和食になったけど、そこには、アメリカ帰りの樹さんに和食を食べさせたいとの、優しい気遣いもあった。


ある和食料理店の個室に案内された私達は、靴を脱いでお座敷に上がった。
奥に柊君と私が、手前に樹さんが座った。


色々みんなで注文し、お茶を1口飲んだ。何だか喉が渇くスピードが早くて困る。


「今日は柊のおごり?」


「もちろん」


「柊、日本酒飲む?」


「いや、僕は運転があるから。樹は久しぶりだろ、日本酒」


「ああ」


2人のやり取りを黙って聞いていたら、樹さんが私の方を見て言った。


「柚葉、お前運転できないのか?」


え!!
樹さん、今、私を呼び捨てにした?
すごく驚いたけど、そのフランクさは、5年間アメリカにいたせいだろう。
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