未来の種
優が私の両肩に手を置いて撫でてくれる。
落ち着いて話していたつもりだったのに、いつの間にか力が入っちゃってたみたいだ。
息継ぎが短くなってる…。

「美衣子、まずはごめん。」

「優…?」

「美衣子が辛い思いしてる時、俺、そばに居られなかった。気付きもしないで…ごめんな? 」

ううん。違うよ! 言わなかったんだから気付かなくて当たり前なの。

そう言おうとしたけど、優が寂しそうに首を振った。

「美衣子が毎月辛そうにしていたのは知ってたんだ。それなのに、軽く見てた。親身になってなかった。
それだけじゃない。美衣子はいつも俺を励ましてくれて、応援してくれていたのに、俺は美衣子に何もしてあげてなかった。美衣子に甘えきってたんだ。だから俺に相談出来なかったんだろう?」

「ち、違うよ! 
私が知られたくなかったの。
優の子供が産めないかもしれないって、知られるのが怖かったの…。」

「…うん。美衣子がそう言ってくれるのもわかる。でも俺は、やっぱりそばに居て、何も役に立たないだろうけど、肩を抱いてやるくらいのことはしたかったんだ。」

「優…」

「美衣子、俺がなんて言うか、わかっていたんだろう?」

…もちろん、わかっていた。
優は優しい。だからきっと言う。
美衣子さえ居てくれたらいい。
子供が出来なくてもいい。
そう言うはず……。
でもそれじゃ…

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