2番目の恋
過去の告白
川沿いのアパート。
築13年、1DK43,000円。

「何にもねえなー。」

部屋を見て笹崎が言う。

「炊飯器と調理器具と育児グッズは貰えたんだけどね。」

洗濯機を貰った代わりに、電子レンジと冷蔵庫は向こうのもの。
テレビも。

今はローテーブルと布団だけで生活してる状態。
オモチャと絵本が隅っこに置いてあるだけ。
まだ2人だけの生活になって2ヶ月。

女2人にしてはとても生活感がない。

「焼きそばだったら作れるけど、最初に咲良お風呂入れちゃっていい?」
「いいよ、俺まだ全然腹減ってねえから。」

狭い部屋の隅に笹崎が体の割に小さく座ってる。

「この部屋テレビないんだな。」
「そうそう、買わなきゃって思いながらさ、テレビ買ったらテレビ台も買わないとじゃん?お金もないし、まだ買ってない。」

私は咲良をお風呂に入れる準備をする。
今日はお昼寝少なかったからか、結構機嫌が悪い。

頭の中で咲良に食べさせるものだけ考える。

バタバタと咲良をお風呂に入れる。
面倒だからとりあえず小さなベビーバスとシャワーで済ませよう。

「なんか俺手伝うことあるー?」

ドアの向こうから笹崎が聞いてくる。

「大丈夫ー!」

機嫌の悪い咲良がシャワーを嫌がって大泣きする。

「なんか俺手伝うよー?」
「大丈夫ー!」

私までびしょ濡れになりながら咲良のお風呂を終える。

「いいやもう、レンチンレンチン。」

私は前に作り置きしてた咲良用の野菜やご飯を冷凍庫から取り出す。

「ちょっと適当になんかしてて。」

笹崎に言う。

「はーい。」

その声が聞こえてきた後、私は安心しながらバタバタと咲良のご飯を準備する。

< 9 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop