元書店員ですが、転生したら貴族令嬢になっていました!

3.② 名前にまったく馴染みがありません!

「どうしても信じられないのですが、貴女はお嬢様とは別人格だと私は考えます」

「ギルバード様!」

 メイド風おばさんが小さく叫ぶ。

「ご当主に相談しにまいります。貴女はお嬢様に暖かいものを」

 お医者さんは立ち上がると、足早に部屋を出て行ってしまった。 ご当主というからにはこの家の主人ということだろうか?
 メイド風おばさんは、腰を折ってお医者さんを見送る。その後彼女は途方に暮れたような顔で、暖かいものをお持ちしますのでこのままベッドでお待ちくださいませ、と言い置いてこれまたささっと足音も立てずに部屋を出て行ってしまった。

 一人取り残された私のため息だけが部屋の中で響く。そしてしばらく待たされる間、もう一度自分の身体を見下ろして観察してみる。

 何もかもが細い。腕なんかちょっとしたら折れそうだ。本屋で働くと、ただでさえ重い書籍を段ボールにこれでもか! とつめこまれたのを運んだりするので無駄に上半身の力がありました。だから私の上腕二頭筋三頭筋あたりはなかなかいい感じに鍛え上げられてた。でも『アリアナ』は間違いなく箸より重いものを持ったことがないタイプだと察する。あ、この国多分箸なんかないだろうけど。

 肌が白くて、ピチピチしている。絶対若いということだけは断言出来る。指で肌を押すと戻ってくるもの。こんな透明感なんて学生以来だ。

 そして手足がやたら長いことに気づいた。胸は小さいけど、足首なんてきゅっと締まってて、これはスタイルもいい。身長はそこまで高くなさそうだけど、もともとの私と同じくらいで160センチ前後ではないだろうか。

 アリアナは、顔は西洋人形のように可愛いし、こんなに細くてスタイルいいし、何より若い。どうやら家もお金持ちっぽいし、人生イージーモードな気がするけど。中身がこんな極東からやってきたアラサーになってしまって、なんだか申し訳なくなったが、自分でもどうしようもない。そして可能ならば私だって元に戻りたい。

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