おとぎ話の裏側~身代わりメイドと王子の恋~

レスピナード公国は、小国ながら豊かな自然に囲まれ、繊維産業と貿易により富を得ている穏やかで平和な国。
花の綻ぶ暖かな春の日差しの中、公爵の一人娘であるシルヴィア=レスピナードの花婿となる予定の王子をもてなすパーティーが催されています。

花婿候補はラヴァンディエ王国の王子。

キラキラと輝くような金髪に深緑色の瞳。
真っ白なブラウスにレースのあしらわれたクラヴァット、真紅のコートを羽織った長身はスラリとしていて見る者を惹きつけます。

シルヴィア姫は初めて会う美しい王子が自分の夫に相応しいのかを、どう見抜いたらいいのか迷ってしまいます。
きっと姫である自分には、飾り立てた言葉でしか話しかけてこないと思ったからです。


そこで、シルヴィア姫は自分の侍女であるリサと衣装を交換し、花婿候補の人柄をメイドとして離れた場所から観察しようと思い付きます。

大きなフリルにリボン、繊細なレースをふんだんに使ったピンクのドレスを侍女のリサに着せ、自分は真っ黒なメイド服に白のエプロン姿。

シルヴィア姫と侍女のリサは、入れ替わった状態で花婿をもてなすパーティーに参加します。


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