私は担当患者のバイタルのチェックへとナースステーションを出て行く。

「一ノ瀬さん」

私を避け続けて来た村上さんが自ら声を掛けて来た。

「貴方はいいわよね…高木先生と結婚するんだもんね…」

「・・・村上さんは久世さんに本気だったんでしょ?なのに、どうしてそんな酷いコトするんですか?」

「・・・彼は最初から貴方狙いだったのよ。私は貴方の当て馬にされたの…」

「だからって…」

「でも、貴方も亡くなられたお姉さんの身代わりだったわね…ご愁傷様」

「やっぱりお前だったのか…梓」

「匠海!?貴方…何で!?此処に居るのよ!!『ジーザス』はクビになったはずよ…」

「あぁ…お前のおかげでクビになった…でも、世話になった此処に最後の挨拶に来たんだ。一ノ瀬さん…君が皆にこれ配ってよ」

久世さんが私に帝都百貨店の紙袋に入ったギフトを手渡そうすると横やりで村上さんが奪い、そのまま紙袋を床に落として踏みつけようとした。

私は咄嗟にその蹲り、その紙袋を抱え込んだ。

「よせっ!!梓」

「匠海は彼女を庇うのね…」

「いい加減止めろっ!!大体、俺の片思いだし、一ノ瀬さんには罪はない…」

「どうしたの?」
相馬先生が私達の輪に入って来た。

村上さんの方がその場に居たたまれず、先に輪から離脱してしまった。

「ご迷惑お掛けました・・・相馬先生」

「久しぶりだね…久世君…最近顔見なかったけど…」

「あ、俺…『ジーザス』退職したんです…それで皆さんに挨拶を…まずは小児病棟のナースステーションからと思って」

「ふうん」

「私が案内します。久世さん」