LIONの許婚
その日の17:00
桜祐は朝着て行ったスーツを着て
帰って来た
藍色のスーツは見合い用で用意
されたものなのか?。

手には白い箱に入った
birthdayケーキを、下げて


「おか・・えりなさい。」

「ああ、た、ただいま。」

桜祐は入って来ようとしたが悠里が
止めた。

「もうここには来ちゃ駄目‼✖
お見合いしたんでしょう。

結婚決まるんでしょう。
帰って下さい。
破談になったら責任持てないし
お爺様に又嫌われる。」

桜祐は1歩踏み出した足を元に
戻して

「悠里は、いいのか💢💢
俺が他の奴と結婚しても
平気なのか?」

「良いも悪いも無いじゃん!
もうおしまいだよ。
ケーキは彼女呼んでアンタの
マンションで食べなよ!
他の女とデートした後の
ケーキなんて食べたく無い‼
キモイ‼」
怒り任せで早口に怒鳴る💥💢💥


「ゴメン、ゴメン悠里
仕方なかったんだ
でも断る必ず断るから、信じて
くれないか!」


「信じていたのに・・酷い‼」

ハ━━━アッ
桜祐は溜息を、吐きながら
悠里の前で座り込んだ。

「悠里、悠里、悠里」

悠里は桜祐の叫びに似た問いかけに
答え無い、ずっと背中を向けて
桜祐を見ない、白いレースの
ブラウスは悠里の華奢な震える体を
包み込んでいた。

桜祐は堪らず抱きしめようとしたが
ブンブンと悠里は拒んだ。


「ゴルフの約束何時なの‼」

「いや、それは・・・」

せっかく恋人になれたはずなのに
あれは裏切りなんだろうな!

「分かった、悠里が許して
くれるまで待つよ!」

「わたし、出ていく」

「え?」

「私お爺様にこのマンションから
出て行って欲しいって
お願いされてるの、それに
親の借金が相当あるみたい。
私が加納との繋がりをやめたら

三億円はチャラ

年末ジャンボ並だよ!」


「・・・・三億」

「1億円はまだ借りに来ただけらしい
けど私の手切れ金として
お爺様は出すらしい、借金返せ
無いから仕方が無いもん。

許婚は無しだと言われた。
だから、桜祐とは一緒になれない!
三億円なんて返せないよ。」


「そんな金、
俺がかえす。」

「無理だよ返せたとしても
それで収まる訳無い
毒親は又金の無心に来るよ!
私には関わらない方が
いいよ。」


「彼女、綺麗な人だったね!
桜祐も楽しそうだったし
御付き合いするんでしょ。
ゴルフセット買わなきゃだね!」

「聞いていたのか?」


「聞こえるよ
あんな楽しそうだったし。
聞くなと言う方が無理だよ!」



「俺は無理だ、悠里
何億なんて関係ないから
俺に任せろ!」

うわーん、うわーん
「ならなんでなんで
お見合いなんかしたの
桜祐にその気無いならしなけりゃ
いいじゃん。」



「仕方なかったんだよ。
断るつもりで
見合いしたんだ。」

「楽しそうだった癖に」


「ごめんって、それに
三億なんて加納家には
何ともない‼
甘く見られたもんだ‼」

桜祐は考えた
独り身だから縁談だの、説教だの
悠里との仲を、どーの、こーの
言われ疲れる。




桜祐は「直ぐ帰って来る‼」
そう言い残してマンションを、出た‼

帰って来た桜祐の手には
婚姻届が握られていた。

悠里は、それを見て愕然と震えた。


「悠里2人の愛の証として
書いて欲しい。

俺に対しての愛情が本当なら
書いて欲しい。」


「無理だよ‼」

「後は俺に任せればいい
爺様は悠里の血が欲しいだけだから」

ゲッ!!血
三上の血



悠里はペンを、握ったが
「無理だ、無理無理無理無理」

「・・・・・・は?

ただシンプルに書けばいい
貸して‼」

桜祐は自分の欄を、記入サラサラサラ


「はい。
悠里書いて‼」



「ゴメン、書けない‼」


「良いか悠里良く聞いて
悠里が書かないと
俺らは終わりだ‼
俺も悠里を、諦めるし
悠里も俺を諦めてくれ・・」


「あきら・・めるの‼」


「私、桜祐が見
合いしても好きかも
知れない。」

悠里はブルブル震える手で
名前を、書いた。

桜祐はそれを握りスッと立ち上がった。

「ど、何処行くの?」

桜祐は、ビジネスバッグに婚姻届を、
しまいながら悠里に言った。

「思い立ったが吉日」

「待って┉~‼
は、話を、聞いて
もう全部、話すから、」


マンションを、出ようとした
桜祐の足が止まる‼
ライオンの勘が働いたのか
桜祐は悠里を、キッとみた。


「なに?隠し事?」

「うん。
ごめんなさい」

悠里は産婦人科の前に捨てられて
いた事、三上夫婦の子として
育てられた事・・・・
包み隠さずはなした。


気持ち楽になった悠里に対して

「悠里、4年も騙していて
平気だったか?

その神経が信じられない!」


「金はいらない要らない
言いながら本当は加納家の財産
狙ってたんじゃないか‼」


「違う」

「どうだか!💢💢
俺は弁護士たてて悠里、
お前を訴える‼
覚悟しとけ‼」

桜祐は、今までに無い般若な顔を
して婚姻届を、ビリビリビリビリ
と縦に破きクシャクシャクシャと丸めて
悠里の顔に投げて来た。


イタッ
「悠里、さっさと出ていけ
お前の居る理由もなくなった‼
俺とはもう関係ない‼
三上の家もだ‼」


「三上の家の娘だから
好きになってくれていたの‼
好きって言った事
嘘‼ ねえ嘘なの‼」


「俺がライオンと呼ばれる理由はな‼、
捕まえた獲物は必ず息を止める

裏切った奴は容赦なく潰す‼
悠里、お前もだ‼
嘘を餌に近ずいて、俺を騙した!
お前は俺を利用した。」


「そんな・・騙したなんて」

バタンと耳を割るような音を立て
桜祐は出て行った。

悠里は、涙も出ないほど
ぼ━━━━っと座っていた。

テーブルの上には白い箱が
ポンと置かれていた。

開けて見ると白い薔薇赤い薔薇
黄色い薔薇がクリームでいっぱい
デコレーションされていた。

そして

「結婚しよう、悠里」
とチョコぺんで書かれていた。



「私裏切った・・の‼
桜祐に訴えられる大学も
卒業出来ない。」



「もう、終わっちゃったかなぁ(笑)
ああ、最後の桜祐との日々は、
人生で一番楽しかったかも・・」






「悠里は、何も悪く無いぞ‼」

「は?
何言ってる💢💢
俺を騙していたんだぞ!
許せるか‼」


「お前悠里とは・・その、からだ?」

「えっ‼」

「いや悠里は、お前との婚姻の
為育てられたんだろう。
だから・・あれか?

悠里は、初めてだったか?」




「あ‼ ああ、うん。
確かに俺が初めてだった。」


「それで裏切った?
おかしいんじゃないか?」

桜哉は頭から湯気だして
怒っていた桜祐を、宥めた。


「悠里も、騙せ無かったから
お前にギリギリになって
うちあけたんだろう。
酷い事言ってるのは桜祐
お前じゃないか‼

それに見合いまでして
完全に裏切り者は
俺から言わせれば桜祐、お前だ‼

自分でした事は棚上げか?」


桜祐は桜哉と飲みに出たが
なかなか酔えない!

「クッソ」

「どんな事情があろうと
悠里は、始めから騙すつもりで
裏切っていたんだ。」


「お前が‼ 悠里に二十歳まで
許婚でいようと言ったって
言ってなかったか?
俺は聞いたぞ‼」

「・・・」

「なぁ桜祐お前が悠里を、捨てる
なら俺のモノにしてもいいか?
三億なら俺が爺様に返して置く
悠里は、いい子だ‼」


「桜哉、悠里にほれてるのか?」


「わからん、ただほって置けない!
今迄、お前の許婚だったから
手出しはしなかった。

俺のモノになった時は
桜祐、分かっているな
俺も、桜族の虎と呼ばれて
いるんだぞ!

同じ加納一大の血が流れている
そうなったら
桜祐、お前でも容赦しない!
悠里を、手放すなら
俺が貰う。」

ガタン‼
「桜哉兄、本気か‼」
桜祐は、バーの椅子を、倒して
しまった……。


「しばらく考えさせてくれ。」
桜祐はウイスキーのロックを
グビグビと煽った。

桜祐がブリ投げた
色とりどりのケーキを、
ホールのまま、カレースプーン
を、突き刺して食べる。

こんな気持ちでもクリームは、
甘く、スポンジはふわふわ
中に詰め込んだ苺も凄くキャラメル
の甘さと混ざり合いおいしい。

夢にまで見ていたガブリつきの
誕生日ケーキなのに
涙が止まらない。

ああ、大好きだったのになぁ

桜祐の愛情がケーキに乗っかって
対象的に振り返るドアには
桜祐の憎しみが張り付いてみえる。


そう手を離したのは桜祐だった。
結果は、同じでも
捨てられて手を離されるのと
愛情で自ら手を離すのは
全然ちがう。


「これからどうしょう。
もう、何も出来ない・・か‼」


悠里は1枚の便箋を、取り出した
苺の可愛らしい便箋。
それは、悠里の母親が悠里に
残した便箋によく似ていた。


桜祐へ

なんて言っていいか
ゴメンなさい。

それからありがとう。
さよなら


「ん?短いかな・・・」
別れの挨拶って難しい。
クシャクシャクシャと丸めゴミ箱に投げる。

ゴミ箱にあたり跳ね返った便箋の
横に婚姻届が丸まって落ちていた。

「かなり怒っていたな‼」
小さく丸まった婚姻届は桜祐の
怒りの加減が分かる
ギュッとしまって硬そうだ。




ほんわりとオレンジ色の光を
放ちながら座るカウンターで
桜祐と桜哉は言い争いをしていた。


「お客様、少し落ち着いて
ください。」

他の客を気にするマスターが
2人を止める。


「考えさせてくれ?
はぁ?

何を考えるんだ?
金の事か?加納のことか!

今は悠里だろう。
今悠里はボロボロだぞ!
俺は待たない!
お前が行かないなら
俺が行く、爺さんに言って
俺があのマンションを、買う

どう言う意味かわかるか?
悠里は行き場所が無い
あのマンションを、出たいと
言うなら、俺のマンションへ
連れてくる。」


「お客様」


「後で返せとか言うなよ!
俺は三億円爺さんに払って
悠里を自分のモノにする。

悠里に選択肢は無いんだからな!
悠里は俺が守って見せる。」

.。oOギエッ三億だって~え‼
⤴︎桁違いの会話に
マスターはビックリ‼


そう言うと桜哉は嬉しそうな
顔をした。

桜祐はグビグビと強い酒を
煽ってフラフラと立ち上がり
店を出た。


悠里は手作りのゴミ箱を、解体し
キャリーバッグに荷物を詰め込ん
で玄関に置いた。

桜祐に買ってもらった家電はほぼ
完済‼
掃除を始める

「明日がゴミの日で良かった。」

使ってる部屋は寝室込の
部屋だけ、後はリビングか‼

三上の掃除部屋にはダンボールで
作ったクローゼットと
押し入れのベッド
布団はゴミ置き場で拾った
毛布、そんな暮らしに比べれば
ここはなんという贅沢三昧‼

また超ビンボーに落ちてしまった
自業自得‼✖

こんな優雅な生活私には不向き
だったはず、気がつけよぅ~
馬鹿じゃない!
自分で自分を叱ってみる。

綺麗になった部屋は冷たくさえ
感じた。

「早く出ていけ‼」
と言ってるみたい。


「ハイハイ、準備出来たよ!
そう急かさなくて・・も」

グスン悠里は鍵をかけると桜祐の
マンションへと向かい
顔見知りになった
コンシェルジュさんに
鍵と桜祐名義の携帯を桜祐に
渡して貰うように頼んだ。

「分かりました。
ご連絡差し上げましてお渡し
致します。」

悠里はぺこりと頭を下げて桜祐の
マンションを出た。
行くあてもなく歩き出した
悠里の横を1台のタクシーが
すり抜けるように通り過ぎた。


面接も連絡貰う術もなく昼間
受けたバカでかいホテルの前を
通り過ぎる。

「人生、諦めの連続、
今更‼良くなる事もないか」

11月一日
母に捨てられた日に

桜祐に捨てられた。
悠里は自分が捨てられていた
今は無い産婦人科の前に立つ

今はマンションが立ち並び
昔の風景は消えてしまったのだろう。

ハア━━━━ッ、なんの為に
私は生まれたんだろう。
母のお腹に宿った日から母親は
悠里を、邪魔な存在に思って
いたのだろうか!

そう思うとどうでも良くなり
眠くなってきた。
こんな最悪な時でも眠くなるんだ
悠里はタクシーを止め

「ネカフェまで」
そうつぶやいた。



あれから随分時間が立った
桜祐はタクシーに乗り
悠里と住むマンションへとUターン

階段を一段一段ゆっくりと登る
今頃酒が回り出したのか

いや、酒を飲まなければ
悠里の顔をまともに見れない。

そうだよ‼
エレベーターに乗る僅かな時間を
カットして時間稼ぎの階段を登る。

悠里を、好きになったのは
三上とは関係無い、ただ俺に
言わなかった事を攻めていた。

俺に嘘を付いた事をせめていた。

❸嘘をつかない事
悠里が決めた事じゃないか‼
好きだからこそ許せなかった。


フウ~、ひと息ついて鍵を差し込み
勢いよく開ける。


「悠里、悠里、ライオン様の
おかえりたぞ━━━起きろ💢💢」

桜祐は冷蔵庫へ向かい
ミネラルウォーターを、ゴブゴブ
と一気に飲み干した。

悠里のカットしたケーキが
真ん中に鎮座していた。
四分の3残ったケーキを、見て

「📣明日、食べる気か‼
全くの貧乏人だな━━━━(笑)
お━━━━い‼

ゆ━━━━━━り出てコイ‼
借金女ー」


ヨロヨロとソファーに向かい
ドッスンと座る。


ふとテーブルの上の紙に目が行く


桜祐さんお金は月々振込み
ます、お爺様にもそうお伝え
ください。

訴えるなら従います。
私が両親の罪を償います
なるべく早くお返しします。

部屋は出ます
御迷惑かけました。


ふわふわした頭に水をぶっかけられ
た様な気持ちになり酔いが覚める!

「悠里、悠里、悠里」
バン、バンと部屋の扉を開け
悠里を、探す。
クローゼットの中に悠里の服は無い
悠里の修学旅行で使った
キャリーバッグも無い‼


残った物は家電と桜祐の私物


「出て行った・・まさか
何処へ?」


スマホに急いで連絡する
何度掛けても出ない。

すると俺のマンションの
管理室から電話がかかって来た。

「もしもし加納ですが」

「はい。
桜祐様でいらっしゃいますか
管理室の玉井です。

先程三上悠里様から
携帯と鍵をお預かりして
おります。

もしもし、もしもし、もしもし」


桜祐は外に飛び出し悠里を探し
回った。
しかし悠里の姿はなかった。

往来する車も少なく冬が始まる
北風がピューっと吹いていた。

悠里は、貸倉庫を借り
私物を置いた。

マンスリーマンションは今の悠里
には可成の出費、三億円の借金に
1年分の学費が重くのしかかる。

悠里は思い切って軽自動車の
中古車を、買った。

桜佑に勧められて自動車学校に通い
免許取って良かった。

携帯を買い、住所はまだ三上の
家の住所がつかえた。
まずは住まいの確保
50万は痛いけど安全な寝る場所がいる
軽自動車とはいえ悠里1人なら
車中泊ができる。

夜の公園を、転々とし
バイトも変えた。

稼ぎのいいキャバクラとレストラン
の皿洗いを掛け持ちながら、
慣れない化粧はキャバクラ
で教わった。

百均で化粧品も揃え
レンタルでドレスも借りた。
キャバクラは大学の友人の紹介

学食で、1人で座ってうどんを
食べていた悠里に声をかけてきた。

「あなた可愛らしいね。」

「ん?ズルズルズルチュルン」
麺を、すすっていると

「バイト何やってるの?」

「スーパーの品出しとか(笑)
やってるケド」


「ふう~ん‼就職決まった?
あなた三上悠里さんでしょう。」


「え?」

「あなたが可愛すぎるって
有名だよ!」


「え?は?(笑)
どうもありがとう。
お世辞、綺麗な人に
言われたら嬉しいよ笑」

そんな話から牧野紗菜と仲良く
なった。
法学部の紗菜は頭が良く
労働は勉強に差し支える為
短い時間で稼げる仕事をしている
と言った。

悠里の場合は莫大な借金が有り
手軽な仕事でも労働でも働け
たら飛びついた。

もはや仕事を、選ぶ段階ではなかった。
紗菜のお陰で最初の振込は
10万円桜祐の口座に振り込めた。
気の遠くなるような返済額。

それから1年があっとゆう間に過ぎた。


悠里は就職もままならず大学を中退相変わらず稼ぎのいい水商売にのめり込んで行った。



桜祐は振込まれた通帳を、見ながら
悠里が生きていることを知り
ホッとしていた。

一度大学を、見に行ったが
悠里には会えなかった
あの些細な喧嘩がこんな日常を、
作って行った。

月々増えていく返済額
桜祐は、不安になる

「何の仕事をしているんだ?」
今月振込まれた額は50万


「水商売だな!」
桜哉は、断言するように言った。

「水商売?なんの?」

「最悪、美人風呂じゃないか?
もう口座に金を入れられないように
しろ、お前が悠里にしてやれる
事はそれしかないだろ!」

「・・・そしたら
悠里と切れてしまう。」


「返済の為、体を売ってるかも
しれないんだぞ
可哀想じゃないか‼」


「興信所で探すか?」


「探したよ!
何処に住んでるのか分からない
振込の日もバラバラだし
振込まれる支店も決まっていない。」


「夜の店に絞って探せ‼
それも給料の高いトコ限定でな‼」









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